ごあいさつ

口上

拙者、親方と申すは、お立会いの内にご存知のお方もござりましょうが、お江戸をたって一路蝦夷地へ、旭川市をお過ぎなされて当麻町へおいでなさるれば、「梶沼農場」、ただいまは「麦わらファーム」と名乗りまする。

元朝より大晦日まで、お手に入れまするこのトマトは、昔、南米より来たり、我が家で太陽を燦々と浴び育つ。

よってその名を「こく旨トマト」と申す。

もしやお立会いの内に、「パピヨンシャトー」か「鍾乳洞」へお出でなさるか、または「旭山動物園」参内の折からは、必ず門違いなされまするな。

お上りならば右の方、お下りなれば左側、四方を田んぼに囲まれ、敷地内には汽車が走る、景観のどかな我が家でござる。

いや、最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存知ない方には小心の胡椒の丸呑み、白河夜船、さらば一粒食べかけて、その気見合いをお目にかけましょう。(後略)

はじめまして

農場主写真
農場主写真2

非農家出身の私が農業の世界を目指し3年間の修行時代を経て、2006年春に独立しました。

一人前の百姓になるべく今年も多くの種をまき、土を耕し、作物の声に耳を傾けています。

作物を作ることを通し、農業は本当に奥の深い職業だと考えさせられます。晴天が続き雨量もほどほど、順調に作物が育つ恵みの年もあれば、冷夏、長雨等 泣かされる年もあります。

人は“自然により生かされている”という道理と、人は“自然には勝てない”という 認識を持たなければなりません。人が出来ることは被害を未然に防ぐ努力だけです。

今、私がしなければならないことは有機栽培に努め、有機質(堆肥・魚介類) 主体の野菜たちを、皆さまの食卓に届けることです。

農業は毎年勉強、毎年一年生です。

(梶沼 啓)

北海道で農業をする(夫をもつ)ことが決まったとき、不安は当然ですが、ふつふつと野望が湧いてきていました。

「本能を取り戻す」  「野蛮人になる」

旬を感じずに食べ物を口に入れ、眠いと思ってもついテレビをだらだらとながめては 通勤電車の中で眠り、欲しい物を買い、いらなくなったら捨てる。そんな生活が喜びに満ちていないのを、私の本能は感じていたのです。

今は、幸せです。

春には、野草を摘み、その苦味で身体に春がきたことを教え、夏には、暑苦しいまでの原色野菜が食卓を彩り、秋には、すべての収穫が終えたことを感謝しつつ、味わい、冬には、蓄えた野菜を細々と食べつつ、春を待ちわびる。

もちろんスーパーで買い物もしますが、ファームで作っているものはなるべく買わずに、春を、夏を、秋を、待っている。そんな不便さが、とても身体に良いみたいです。

(芋掘り太郎 もしくは 草取り次郎)